基本がなくっちゃ! 「本立ちて道生ず」
本(もと)立ちて道生ず
これは孔子ではなく、弟子の有子(ゆうし)の言葉。
論語新釈 (講談社学術文庫 451)の訳は次の通り
根本が確立すれば道は自然に生じるものある。
要するに、基本を大事にすれば、自然に道が開かれるということ。
ここでいう根本とは、両親や年長者を大切にすることを指していると考えればいい。
さらに続けて次のように述べられている。
孝弟なる者は、それ仁をなすの本か
これは、両親や年長者を大切にすれば、仁の心を自然に持てる、ということ。
「仁」を今の言葉でどのように表せばよいか悩むけれど、一番簡単にいうと「(すべての人に対する)優しさ」かな…。
孔子は「仁」をとても大事にしているようで、「孔子は君子は仁者であるべきと説いた(by ウィキペディア)」そうだ。
今までの話を簡単にまとめると次のように言っていいのではないだろうか。
両親や年長者を大切にすることが、すべての人に対する優しさにつながる
親不孝者の自分としては耳が痛い。
それはともかく、最初の 本立ちて道生ず はいろんなことに当てはまるはずだ。
どんなことでも基本を大切にして日々生きていけば、やがて道が開かれるはず。
まずは基本をしっかり守るようにして過ごしたい。
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怒るより怒らないほうがいい 「人知らずして いからず」
学んで時にこれを習う ともあり遠方より来たる 人知らずしていからず
この3つで1つのまとまりになっている。
最初の2つはよく知られているけれど、最後の句は前の2つほど有名じゃない。あまり訳をすぐにイメージしにくいからだろうか。
論語新釈 (講談社学術文庫 451)には次のように訳されている。
己の学問の成就したことを人が知らなくても、泰然自若として、少しも不平らしい心を起こさない
完璧にマスターしたことから得た考えやヒントを伝えようとしても、相手が分かってくれない、理解を示してくれない。そんなことがあっても気にせずに、イラっとしないようにする。(それが君子ってもの)
自分のことや話を分かってくれない相手にイライラしたり、怒ったりすることはしょっちゅうある。といっても、孔子のように自分が完璧にマスターしからでなくて、こちらの考えも穴だらけという場合が多い。
だから孔子の言う 人知らずしていからず とはちょっと違う。
けれども、どちらにしても大切なのは「いからず」ってことだろう。
自分であろうと相手であろうと、分かり合えない、分かち合えないからと怒っていては、永遠にそのまま。場合によっては、いつかは分かり合うチャンスさえも見失ってしまうかもしれない。分かり合えないのはタイミングが悪かっただけ、いずれ自分や相手も成長して、分かり合える日がくる。そう信じて、待つしかない。
かなり拡大解釈かもしれないけれど、そんなふうに考えてみた。
自分の場合、しょっちゅう怒ってしまうのだが…。
(できるだけ)怒らない自分を目指してみるか。
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人と出会うって楽しいネ! 「ともあり遠方より来たる、また楽しからずや」
「とも(朋)」とは同じ道を志す人(論語新釈 (講談社学術文庫 451))のこと。
論語では特に学問をきわめて、君子(聖人?)になろうとする人のことを言うのだと思うのだけれど、君子なんて、とても「ムリっ!」と感じてしまう。
そこでもっと身近なイメージで考えたい。
性善説というわけではないけれど、僕はどんな人でも、良い人になりたい、自分のことを高めていきたいという向上心を持っていると思っている。
君子にならなくてもいい。
たとえば、いい仕事をしたい。知識を増やしたい、いい父親になりたい、など。具体的な形は人によって違うけれど、みんなそれぞれの理想を持って生きている。そして一人に一つというわけじゃない。ある人が、職場ではいい仕事をしたいと考え、同時に家庭ではいい父親でありたいと願っている。
もちろん、実際にそれを実践している人ばかりではなくて、まったく正反対のことをしている人もいる。でも、それに気づいていなかったり、うまく表すことができていないだけなのだと思う。
ちょっと話がそれてしまった。
とにかく、そんなふうにして、人はより良くなろうとする気持ちを持っている。
そして人と人が出会う。いや、実際で出会わなくていいかもしれない。本を読む。テレビやラジオで話を聞く。ブログを読む。どんな場所でもいいから、自分の考えになかったものを知る。相手の考えの影響を受けて自分の考えが変化する。直接語り合うことができたなら、相手の考えも変化する。自分の考えと相手の考えは、まったく同じものにはならないけれど、ちょっと近づき、そしてお互いがお互いの理想に近づく。
ときには考えが反発しあうときもある。でも、自分を高めようとする気持ちに素直になれたなら、きっと変化する。
これほどうれしいことはない。
論語っておもしろい!
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紀元前に説かれたアウトプットの重要性 「学んで時にこれを習う。またよろこばしからずや」
論語の中でももっともよく知られた言葉の一つ。
この言葉のポイントは、「学」と「習」の違いをどのように捉えるかにある。
論語新釈 (講談社学術文庫 451)によると「学」は知らないことを覚ること、そして「習」は「(ヒナが何度も羽を羽ばたかせて、飛ぼうとするように)何度も練習すること」という。通釈では「復習」として訳されている。
さらに高校生が感動した「論語」 (祥伝社新書)では、一歩踏み込んで、「習」を実践すること、実習することを解釈している。
たとえば新しい英単語を1つ覚える。これが学ぶだ。それを何度も口に出して練習する。あるいはノートに何度も書く。機会があれば、ネイティブと話し、実際にその言葉を使ってみる。そうしているうちに、その単語は頭に染み込み、完全に自分のものとなる。自分自身の言葉として使えるようになるのだ。
よりよい生き方、座右の銘、目標…何でもいい。新しいことを知り、それを実現したいと思うならば、何度も繰り返し練習し、実行する。そうすれば、それはいつしか自分のものになるだろう。
今、よくいわれるインプットからアウトプットへの重要性、そして習慣化の力につながる考えのように思う。
論語ってスゴイ!
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